──朝ドラ「マッサン」のモデルになった、情熱の人の物語
6月といえば、梅雨やあじさい、衣替え……。
季節の話題はいろいろありますが、実はウイスキーファンにとって、ちょっと特別な記念日があるのをご存じでしょうか?
それが、6月20日。
日本のウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝の誕生日です。

今や、世界中のウイスキーファンを魅了するジャパニーズウイスキー。
今月は、その礎を築いた竹鶴政孝の物語をご紹介したいと思います。
本場スコットランドへ
1894年、広島・竹原町の造り酒屋に生まれた竹鶴政孝。
幼い頃から日本酒づくりを見て育った少年が心奪われたのは、日本ではまだ珍しかったウイスキーでした。日本人の手で本物のウイスキーをつくりたい──そんな夢を抱いた政孝は、摂津酒造(現:宝ホールディングス)に入社し、24歳で本場スコットランドに渡ります。
現地では大学で学びながら、蒸溜所に飛び込んで釜掃除から蒸溜まで体当たりで経験を積みました。
ただ、この実習先が決まるまでには時間がかかったようです。
焦りがあったのでしょうか。
「苦シイ洋行ダナー。何一つ、ホントー二、ロクナ事ハナイ。」
などと本の余白に書き込むこともあったようです。
現場ではメモすら許されず、こっそりポケットに忍ばせた紙切れに走り書きしては夜にノートへまとめていたそのノートが、後に通称「竹鶴ノート」と呼ばれ、日本初のウイスキーづくりの設計図となったものです。
かつて、イギリスの首相が来日の際
「頭の良い日本の青年が、1本の万年筆とノートで我が国のウイスキーづくりの秘密を盗んでいった。」
とスピーチしたそのエピソードの元となったのもこのノートのことです。
このスコットランド留学でもうひとつ得たものがあります。
それは、後に妻となるジェシー・ロベールタ・カウン(通称リタ)との出会いです。文化や言葉の違いを乗り越え、ふたりは愛を貫き、日本へ帰国。
2014年のNHK朝ドラ『マッサン』で描かれた夫婦の姿が、ここにありました。
山崎から余市、そして宮城峡へ。理想を追い続けた人生

帰国後、竹鶴はサントリー創業者・鳥井信治郎とともに、日本初のウイスキー蒸溜所・山崎蒸溜所を築き上げます。
しかし、スコットランドで学んだ本物のウイスキーづくりを追求するあまり、やがて独立を決意。北海道・余市の地に、大日本果汁株式会社(後のニッカウヰスキー)を設立します。
ジュース製造で資金をつなぎながら、6年の歳月をかけて「ニッカウヰスキー第一号」を世に送り出しました。
戦後、安価な三級ウイスキーが市場に出回るなか、竹鶴は「本物」にこだわり、品質本位を守り続けます。
1969年には、宮城県仙台の森に第二の蒸溜所・宮城峡蒸溜所を設立。
スコットランドから取り寄せたカフェ式連続式蒸溜機を導入し、日本初のブレンデッドウイスキーを誕生させました。
蒸溜所を決めるとき、第一候補の場所を見せたとたん
「ウイスキーを持ってこい」
と叫んで座り込み、川の水を汲み、自らウイスキーの水割りを試して
「ここに決めた!」
と言ったエピソードが残っています。
竹鶴が気に入ったこの川の名前は、地元で「新川(にっかわ)」と呼ばれていたそうで、ニッカウヰスキーとの不思議な縁を感じさせますね。
世界へと羽ばたいたジャパニーズウイスキー
竹鶴亡き後も、その志は脈々と受け継がれ、ニッカウヰスキーは世界的な評価を受けていきます。
数々の国際コンペティションで受賞を重ね、ヨーロッパを中心に世界中のバーテンダーやウイスキーファンを魅了する存在に。世界中で「Japanese Whisky」という言葉が市民権を得ていきました。
ちなみにジャパニーズウイスキーの英語表記の綴りは『whiskey』ではなく『Whisky』。これはスコッチ・ウイスキーに倣ってスコットランド風に “e” を省いたwhisky表記が用いられているのです。
その「Japanese Whisky」の原点には、竹鶴政孝の
「よいウイスキーづくりにトリックはない。自然を尊重する素直な気持ちが、すべての土台だ。」
この言葉の通り、命をかけて守り抜いた「本物」へのこだわりがあるのです。
6月、竹鶴政孝に思いを馳せて乾杯を

6月20日、竹鶴政孝の誕生日。
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