ノンアルコールビールやノンアルワインが、すっかり日常になじむようになりました。
「飲めない日でも、雰囲気は楽しみたい」

その需要が定着してきた、ということだと思います。

そして、その流れはウイスキーも同じ。
近年は「ノンアルのハイボールテイスト」や「ノンアルウイスキー」と呼ばれる飲料が増えてきました。

もちろん、ウイスキーは高い度数まで含めて“らしさ”のあるお酒です。
だからこそ、ノンアルで成立するのか?と疑問視されるかたもいらっしゃいます。
こういったユーザーの心理的なものもくみ取り、メーカーサイドは気分や雰囲気だけでなく、香りを残すための製法まで含めて、ちゃんと作りにいっています。

ノンアルウイスキーは、どう作られているのか

ノンアルコールウイスキーには、製造工程が大きく2つあります。
どちらも狙いは同じで、香りを残し、アルコール由来の厚みを別の方法で補うこと。
ウイスキーの肝は「香り」なので、ここをどう扱うかが勝負になります。

1. 脱アルコール法

ひとつ目は、いちばん“ウイスキーに近い”考え方。
つまり、まず本物のウイスキーを作ってから、アルコールだけを取り除く方法です。

工程はざっくりこう。

  • 製造・熟成:麦芽の糖化、発酵、蒸留(ポットスチル)、樽熟成まで、通常のウイスキーと同様に行う
  • アルコール除去(減圧蒸留):真空に近い低圧環境を作り、低温(目安として40℃前後)で蒸留する
    • アルコールは通常78℃で沸騰しますが、減圧するともっと低温で揮発しやすくなる
    • そのため、香り成分をできるだけ壊さずに、アルコールだけを飛ばしやすい
  • ブレンド・瓶詰め:アルコールが抜けた原酒に、スモーキーさや熟成感を補う風味調整をして製品化

この方式の良さは、元がウイスキーということ。
樽熟成由来の香りの方向性が最初からある程度決まっているので、狙うべきゴールが明確です。

一方で、アルコールが抜けると、どうしても口当たりの厚みは落ちます。
そこをどう補うかが、最後のブレンドの腕の見せどころになります。

2. ボタニカル蒸留法

もうひとつは、発想が少し違います。
“本物のウイスキーを作って抜く”ではなく、ウイスキーらしい風味要素を抽出して組み立てる方式。

工程はこんなイメージになります。

  • 原料の準備:オーク(樽材)、ピート(泥炭)っぽさを想起させる素材、スパイスなどを用意
  • 蒸留・抽出:水や低アルコール溶液などを使い、香味成分を濃縮して取り出す
  • ブレンド・瓶詰め:抽出したエキスに、色味や味の厚みを出す要素(カラメル、キャラメル的要素、タンニンなど)を加えて整える

こちらは、言ってしまえば“ウイスキーの構造を分解して再構成する”やり方。
狙った香り(バニラ、キャラメル、スモーク、ウッディ)を設計しやすい反面、やりすぎると「それっぽい香料感」が出やすい。
だからこそ、どこまで“作り物っぽさ”を消せるかが勝負になります。

ノンアルコールウイスキーのポイント

ノンアルウイスキーをよりウイスキーらしくするために、技術的に論点になるのは主に3つです。

1)風味の再現は、樽香の設計が中心
バニラやキャラメル、ウッディさ、スモーキーさ。
ウイスキーらしさの多くは、樽熟成やピート由来の要素なので、ここをどう作るかが核になります。

20.00%へのこだわりは難しい
「限りなくゼロ」ではなく「ゼロ」に寄せるために、除去工程の精度や回数を上げるなどの工夫が必要になります。

3)用途は基本、ハイボール方向が強い
アルコールがない分、ストレートでの満足感は出しにくい。
だからこそ、炭酸で香りを立てて、飲み口で気持ちよさを作る。
ノンアルがハイボールに寄るのは、単なる流行というより、構造として理にかなっています。

どう楽しむのが良い?

ノンアルウイスキーは、ほんの少しだけ手間を加えるだけで満足度が上がります。

  • グラスに注ぐ(香りの立ち方が変わる)
  • 氷は多め(口当たりが締まる、薄まり方がハイボール的になる)
  • 柑橘を落とす(香りが“それっぽさ”を引っ張る)
  • ジンジャーやレモンピールで輪郭を足す(酒っぽさが立つ)

自作するなら、麦茶・コーン茶×炭酸×レモンという“気分装置”がわりと優秀です。
ウイスキーの完全再現ではなく、「ハイボールの気配」を作るつもりでやると、ちょうどいい感じになりますよ。

ノンアルは、代用品ではなくなった

ノンアルコールウイスキーは、ウイスキーの代替ではありません。
でも、ウイスキーの“香り”をどう取り出し、アルコールの“厚み”をどう別素材で補うか。
そこに技術の工夫が詰まっています。

飲めない日のため、というより。
「飲まない」を選んだ日に、ちゃんと満足を残すための飲み物。
ノンアルウイスキーは、そういう位置づけがいちばんしっくりくるのではないでしょうか。




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